この記事に書かれている傾向と対策はあくまで僕個人の感想であることを、予めご了承ください。
なお大阪大学は物理学、化学、自然科学、英語(外部試験)の4教科が課されますが、本記事で解説するのは「自然科学」となります。
【医学部編入試験】大阪大学の入試情報
令和5年度の募集要項が大学のHPに公開されており、その情報をまとめます。
なお要項の変更などの可能性がありますから、受験予定の方は必ずHPをチェックしてください。
概略を示しておりますので、具体的な情報は大学ホームページで必ず確認してください。
募集人員:10名
出願資格:
・大学を卒業したもの、または令和5年3月31までの卒業見込みのもの
・修士or博士の学位を与えられたもの、または令和5年3月31までに取得見込みのもの
・外国で学校教育における16年過程を修了したもの、または令和5年3月31までに取得見込みのもの
・学校教育法第104条第7項の規定により学士の学位を与えられたもの、または令和5年3月31までに取得見込みのもの
試験日程:
第一次試験(学力検査) :令和4年7月2日(土)
第二次選考(小論文と面接):令和4年7月23日(土)
その他:
出願の際には「卒業証明書」「成績証明書」「学位授与証明書」「志願理由書」「TOEFL-iBT or TOEIC L&Rのスコア」等が必要であるので準備が必要である。
詳しくは大阪大学のホームページで確認して頂きたい。
試験科目と特徴について
大阪大学の一次試験では「物理学(100点)」「化学(100点)」「自然科学(150点)」「英語(100点)」の学力が検査される。
ここでは自然科学のみに焦点を当てて解説するが、他の科目も軽く触れておく。
物理学と化学は大学レベルの問題が大半を占める。もちろん大学受験レベルの学力も要求される。
正直なところ、大学時代に物理ないし化学を専攻したか、大学受験時に物理と化学が得意だった人以外にはハードルがかなり高いと言えるだろう。
大学受験界隈では「宇宙人枠」と呼ばれる大阪大学の医学部に入るためには、それ相応の学力が必要だ。
英語ではTOEFL-iBTないしTOEIC L&Rのスコアを得点に換算する。
詳しい募集要項は募集要項で確認してほしいが、換算表を見る限りTOEICに集中する方が圧倒的に高得点を狙えると思う。
90点ラインがTOEFLでは108点であるのに対し、TOEICでは960点である。
TOEFL-iBTで108点を取るのは至難の技であるが、TOEICで960点はある程度の時間をかければ十分狙えるだろう。
【医学部編入試験】自然科学の難易度
大阪大学の自然科学の特徴について述べる。
自然科学の傾向と対策
2017年〜2021年の過去問を分析した所感を述べる。
大阪大学の自然科学の特徴としては次のようなものが挙げられる。
- がん分野が頻出
- 自然科学に関する英文記事の読解問題が毎年出題
- 実験考察問題も頻出
- 微生物・免疫学の複合問題もよく出題される
率直な意見としては、標準的な問題で構成されていると感じた。
がん分野はほぼ毎年出題されていることから、確実に点を取れるように勉強しておきたい。
がん遺伝子やがん抑制遺伝子の理解は必須で、がん免疫や転移のメカニズム、Rasやp53やWntのような主要ながん関連遺伝子について深く学んでおく必要がある。
ここはぜひ得点しておきたい。
英文読解問題も特徴的であるが、専門性の高いジャンルに関する英文がよく出題される。
出題されたテーマ | 出典 | |
2021 | HBVの増殖メカニズム | World J Gastroenterology |
2020 | ゲノムとがんの関連性 | Nature Review Cancer |
2019 | DNA double-strand break | J Cell Physiol |
2018 | CRISPR-Cas9 | Science |
2017 | RNA干渉のメカニズム | Nature |
上の表は英文の題材と出典をまとめたものである。
医学論文にある程度慣れていれば、純粋な読解問題の感覚に近い。
実験考察問題は、大学受験の生物で出題されているものに近い。
特に2021年の肥満マウスの結合実験や2020年の黄色ブドウ球菌の感染実験などは、大学受験の問題でそのまま使われても不思議ではない。
知識、というよりも「実験の意義を正しく解釈し、その実験結果からどのような結果が言えるかを推測する」力が要求される。
なお純粋な記述問題も毎年数問は出題されているため、要項集にあるような代表的な記述問題には対応できる力が必要であろう。
終わりに
第3回の傾向と対策は大阪大学でした。
自然科学に限れば、極端に難しい知識問題はなく、しっかりと対策すれば十分高得点を狙える。
合格するためにはやはり「物理学」と「化学」の完成度が重要である。
他大学と異なり、大阪大学の物理化学は大学教養レベルを完成度高く仕上げていないと対応が難しい。
文系出身の方や物理に拒否反応がある方は、他大学に照準を合わせた方がいいかもしれない。
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