あまり触れられていないが、僕は医学部編入試験の受験生が真っ先にすべきことは
「効率的な勉強環境」を構築することだと考えている。
編入試験を目指す方々とお話しする中で、よく「勉強法」や「予備校に行くべきかどうか」、「どの問題集が有用か」などを質問されることが多い。
確かにこれらは生産性の高い学びに必要な要素ではある。が決定的ではないと思う。
もっと大きな視点で考えれば、医学部編入に限らず多大なエネルギーを要する課題を成し遂げるために必要なものは
「学習環境」と「その目標への努力に快楽を感じられるかどうか」だと思う。
根拠としては次のような理由がある。
- 編入試験の勉強は長期戦である
- 集中状態での3時間の学びは、だらだら6時間勉強するより生産性が高い
- 学習の生産性にムラがあるとモチベーションの維持が難しい
- 必要な学びに対して義務感を感じていると、机に向かうのが辛い
順番に解説していきたい。
医学部編入試験の勉強は長期戦である
多くの人にとって、医学部編入試験は中長期的な戦いであろう。
短くても1年弱、大抵は2年ほどかけて勉強するものと考えられる。
年単位の目標になると、瞬間的なモチベーションでは達成することは難しく、しっかりと計画を立てて勉強して行く必要がある。
効率的な学習環境を持たずに勉強を始めると、計画から遅れてしまい、そこからモチベーションが下がってしまう恐れがある。
単純に毎日の学習効率が1の人と10の人では、365日経った時の成長は桁違いだろう。
よく耳にする「逆転合格」をしていく受験生は、意識的であれ無意識的であれ、1回辺りの学習効率が著しく高いことを意味している。
集中状態での3時間の学びは、だらだら6時間勉強するより生産性が高い
誤解を恐れずに言えば、勉強時間は多ければ良いと言う単純なものではない。
とりわけ社会人として、日々の仕事をこなしながら医学部編入試験に備える受験生にとっては、毎日10時間勉強することなど物理的に不可能だろう。
そして学習効率に対して集中力の深さが与える影響は非常に大きい。
時間を忘れて何かに没頭した経験は誰しも持っていると思うが、その状態で3時間勉強すれば、ボーッとした頭で倍の6時間勉強するより効率がいい。
社会人の受験生にとっての理想は「短時間に最大限の生産性で勉強すること」である。
そのためには、受験を決意したらまず学習環境に気を使った方がいいと理解できるだろう。
学習の生産性にムラがあるとモチベーションの維持が難しい
長期的な課題に取り組むときには、短期的なモチベーションはあまり役に立たない。
むしろある時は一日に15時間勉強して、別の日には全く勉強しない、といったサイクルを繰り返していると高確率で挫折する。
「前はあれだけ勉強できたのに、今日は全然できなかったな…」
こう感じるだけで、やる気のベクトルは下を向いてしまう。
学習時間であれ、生産性であれ、ムラなく一定のペースで進めて行くのが理想だ。
そのためには習慣、ルーチンを早期に構築して、何も考えずに生活していても数時間は勉強しているという状態を作り出す必要がある。
習慣化に関する書籍は多数出版されているので、本屋で一冊購入するのもいいだろう。
後ほど僕の個人的なアドバイスを紹介する。
必要な学びに対して義務感を感じていると、机に向かうのが辛い
医学部編入試験ほどの膨大なエネルギーを必要とし、かつ長期的な課題を突破するためには「効率性の追求」だけでは足りないと僕は考えている。
特に自然科学を「大量の暗記」と捉えてしまっている時点で、自然科学の勉強は苦痛になっているはずだ。
やはり努力しているものに対して、ある程度「楽しさ」や「快楽」を感じないと継続することは難しい。勉強効率も変わってくる。
例えば、僕がエンジニアが儲かると聞いて、プログラミングの勉強をしようと決意したとする。
しかし僕はプログラミングに興味がないので、コードの書き方や構文をひたすら暗記する勉強をいくら継続しても一人前のエンジニアにはなれないだろう。
一方で、もしコードを書くこと自体に喜びを感じる人や、自分で作ったプラグラムが上手く走ることに快楽を感じる人が、プログラミングを勉強したらどうであろうか。
僕よりも短期間ではるかに優秀なSEになる可能性が高い。
最初は無理矢理でもいいので、勉強を楽しめる工夫をして行くことが重要だ。
理想的な学習環境の構築:勉強する時間帯の工夫
科学的に、人間の脳のパフォーマンスが最も高いには寝起きから数時間とされている。
これは毎日の生活の中で脳に入力される情報が、寝ているときに整理整頓されているからだと言われている。
僕自身も基本的に一番重要なタスクは、午前中の時間に処理する習慣をつけている。
具体的には試験勉強や研究、分析などより集中力が求められる問題に午前の時間を充てている
1週間ほど寝起きの数時間を勉強に充ててみてほしい。
時間帯が違うだけで、生産性が飛躍的に上がることを実感できると思う。
逆に仕事の後などは、肉体的にも精神的にも疲れているので、集中力を要するタスクをこなすのは難しいだろう。
仕事がある人も、朝5〜6時に起床して出勤まで勉強することをオススメする。
いわゆる「朝活」である。
理想的な学習環境の構築:食べ物や飲み物の工夫
一般に、人はお腹いっぱい食べると睡魔に襲われる。
先述のように、一日の中でもとりわけ午前中の時間は貴重であり、社会人の受験生であれば、この時間をいかに有効に利用するかが命運を分ける。
もし朝からお腹いっぱい食べてしまうと、せっかくのゴールデンタイムのパフォーマンスが落ちてしまう可能性がある。
相談会に参加された方の何人かにはお話ししたが、僕は高校生の時から朝食を食べない習慣が身に付いている。
これは自分を使った実験で、朝食を取らずにブラックコーヒーを飲む方が、朝食をとった場合よりもはるかに生産性が高いことが判明したからである。
他にも低GI食品といって、摂取後の血糖値上昇が緩やかな食品も生産性アップに繋がるという報告がある(僕自身では検証していないが)。
このように「何を食べるか」によっても勉強や仕事のパフォーマンスは左右されることを知っておこう。
理想的な学習環境の構築:インプット教材は2つ以上用意する
医学部編入試験の勉強をする際に、誰もが教科書を購入すると思う。
このインプット目的の書籍は、可能であれば2冊以上を入手して手元に置いておきたい。
これは大学レベルの知識となると、教科書毎に説明のされ方に違いがあったり、同じ知識に対する解説でもわかりやすさが異なるからである。
加えて複数のソースからインプットすることで、情報の比較ができるため知識の定着率が改善する。
専門書なので値が張るが、図書館などを用いて是非とも用意しておきたいところである。
自分にとってのベストな環境を調べよう
ここまでは主に僕の個人的な経験と科学的な知見をベースに説明してきた。
しかし書いてあるように上手くいかないのが世の常である。
最終的には読者の方自身で、ご自身の特徴を研究する必要がある。
- どの時間帯が最も集中できるのか
- 普段何を食べていて、それが生産性にどう影響しているのか
- どれくらい睡眠を取れば、高いパフォーマンスを発揮できるか
- どこで勉強するのが最も学習効率がいいのか
などを重点的に調べてみよう。できればメモを取りながら、一ヶ月ほど実験期間を設けて色々試してみてほしい。
医学部編入試験が長期戦であることを考えれば、最初の一ヶ月を学習環境の構築に費やすのは悪い投資ではないだろう。
人によっては勉強する時間帯を変えるだけで、劇的に成績が伸びることもある。
具体的な勉強法以前に、自分をベストな環境で学習させてあげることに意識を向けよう。
次回はもう少し具体的な勉強法について解説していこうと思う。
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